今日は我慢しない。
「この資料のデータ元どこにあるか知ってる?」


 近寄る佐柳の気配。


 私の中の何かが、スイッチをオンにする。



 わ

 わ、わ



「こっちのPCだと反映されてなくてさ」



 金色の目

 柔らかそうな唇

 ごつごつした手指



 優しい声に、


 佐柳の、匂い



「……っ」



 ゾクゾクッと体の奥の方が疼いた。



 や、

 やばい




「この辺は探したんだけどー……」

「あー!! それね!!」


 大袈裟な声で言って勢いよく席を立ちあがる私に、佐柳がビクッと小さく肩を揺らして足を止めた。

 それに構わず猛スピードで背後の資料庫から該当のファイルを取り出す。


「これです! どうぞ!」


 卒業証書を受け取る時の姿勢で佐柳にファイルを押し付けて、シュバ!とすぐさま距離を取った。


「え? あっ、ありが……」

「あ、あ~! 陸部に忘れ物しちゃった! ちょっと行ってくる!」


 と、佐柳に喋る隙を与えずに私は生徒会室のドアを開け、スパーン!と閉めて逃げ出した。


 やっばい


 廊下を足早に歩きながら、ぐちゃぐちゃになろうとする頭をなんとか整理するも、心臓はドクドクと早鐘を打っている。


 やばいやばいやばい


 自分でも何やってるんだろうって思う。

 きっと佐柳も不自然に逃げ出した私を不思議に思ってる。

 でも私は逃げ出さずにはいられなかった。



 だって私、さっき、

 また佐柳に発情しそうだった……!!



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