今日は我慢しない。
 肉食動物が獲物を狩るときにするような、鋭い目。

 その目にドキッとした直後、佐柳はフイッと視線を逸らしてボールを勢いよく相手コートに落とした。

 ピピー!と笛が鳴る。

 ゲームはそのアタックを最後に終了した。

 男子たちが集まって礼をすると、女子たちが今度はコートに入る準備を始める。

 緊張感が解けた佐柳は男子たちの中で楽しそうに笑ってて、もうこっちを見ることはない。


 いま佐柳、私を見てた……?


「ちょっ、ねぇ、さっき佐柳こっち見てた……!」


 隣の女子たちがキャーキャーと騒ぎ出した。


「え!?もしかして佐柳の話してたの聞こえた!?」

「絶対そうだよ~! キャー恥ずかしい!」


 そっ……、

 そっちか〜!!


 恥ずかしい勘違いに耳まで熱くなって、慌てて顔を伏せた。

 私、自意識過剰かも。

 自分が意識してるからって、佐柳も私を意識してるわけじゃないのに。




 
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