神に選ばれなかった者達 前編
…ごめん、響也くん。

心が折れるのは仕方ない。人間として当然のことだ。

でも、思いっきり傷ついて、絶望して、涙を流して。

それが終わったら。

今度は、また立ち上がって戦ってくれ。

君自身が、これから先生きていく為に。

「くっ…!」

李優くんは、悔しそうに表情を歪めたが。

覚悟を決めて、萌音ちゃんの後を追って走り出した。

そして、ふぁにも。

その場に膝をつく響也くんを置き去りに。

ゾンビ達に背を向け、一目散に走り出した。






…ほどなくゾンビに捕まった響也くんが、ぐちゃぐちゃと齧られる嫌な音が聞こえてきた。

ふぁには、一度も振り返らなかった。






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