神に選ばれなかった者達 前編
…あ、れ?
ピストルの、ヒュッ、という音が聞こえてくるのを、今か今かと待っていた。
しかし、その音はついに聞こえなかった。
気がつくと、貧血による身体中のダルさや疲労も、感じなくなっていた。
自宅アパートの、薄っぺらい布団の上に転がっていた。
「…あ…。…朝…」
…そっか。
ぎりぎり…間一髪のところで…朝になったんだ。
あと一分…いや、十秒でも遅かったら…私もお兄ちゃんも、命はなかったかも知れない。
助かった…。危ないところだった。
すると。
「のぞみ!大丈夫?」
お兄ちゃんが血相を変えて、こちらに駆け寄ってきた。
良かった。お兄ちゃんも目を覚ましたんだね。
「平気だよ、お兄ちゃん…。ここは、もう現実なんだから」
「あ…そ、そうか…。…そうだったね」
夢の中も、現実と変わらないくらいリアルだから、つい誤認してしまいそうになるけど。
夢の中の怪我は、現実に影響しない。
結局昨日は、危うい場面こそ何度もあったけど、何とか命だけは助かった。
お陰で、現実を「侵食」されることもない。
「良かった…。のぞみ、もう無理しちゃ駄目だよ」
…自分のことを棚に上げて。
「それを言うなら、お兄ちゃんだって」
「お兄ちゃんはいいんだよ」
何がよ。
「もうあの能力は使わないで。のぞみが血を流すくらいなら、死んだ方がマシだよ」
それが嫌だから。お兄ちゃんにそんなことをさせたくないから。
私が血を流して、頑張ったんじゃないの。
「駄目…。私だって一緒に戦ってるんだから、お兄ちゃんにだけ苦しい思いはさせられない」
「…のぞみ…」
「…私が頼りないのは分かってるよ。でも、少しでもお兄ちゃんの助けになりたいの」
自分がそうしてもらったように。
私もまた、お兄ちゃんを守りたい。
それが私の願いなのだ。
「のぞみは頼りなくなんかないよ」
お兄ちゃんは、そっと私の手を取った。
「のぞみがいるから、お兄ちゃんは頑張れるんだよ…。いつでも、どんな時でもね」
「…うん」
そうだよね。
ずっとそうだった。私も…お兄ちゃんも。
ピストルの、ヒュッ、という音が聞こえてくるのを、今か今かと待っていた。
しかし、その音はついに聞こえなかった。
気がつくと、貧血による身体中のダルさや疲労も、感じなくなっていた。
自宅アパートの、薄っぺらい布団の上に転がっていた。
「…あ…。…朝…」
…そっか。
ぎりぎり…間一髪のところで…朝になったんだ。
あと一分…いや、十秒でも遅かったら…私もお兄ちゃんも、命はなかったかも知れない。
助かった…。危ないところだった。
すると。
「のぞみ!大丈夫?」
お兄ちゃんが血相を変えて、こちらに駆け寄ってきた。
良かった。お兄ちゃんも目を覚ましたんだね。
「平気だよ、お兄ちゃん…。ここは、もう現実なんだから」
「あ…そ、そうか…。…そうだったね」
夢の中も、現実と変わらないくらいリアルだから、つい誤認してしまいそうになるけど。
夢の中の怪我は、現実に影響しない。
結局昨日は、危うい場面こそ何度もあったけど、何とか命だけは助かった。
お陰で、現実を「侵食」されることもない。
「良かった…。のぞみ、もう無理しちゃ駄目だよ」
…自分のことを棚に上げて。
「それを言うなら、お兄ちゃんだって」
「お兄ちゃんはいいんだよ」
何がよ。
「もうあの能力は使わないで。のぞみが血を流すくらいなら、死んだ方がマシだよ」
それが嫌だから。お兄ちゃんにそんなことをさせたくないから。
私が血を流して、頑張ったんじゃないの。
「駄目…。私だって一緒に戦ってるんだから、お兄ちゃんにだけ苦しい思いはさせられない」
「…のぞみ…」
「…私が頼りないのは分かってるよ。でも、少しでもお兄ちゃんの助けになりたいの」
自分がそうしてもらったように。
私もまた、お兄ちゃんを守りたい。
それが私の願いなのだ。
「のぞみは頼りなくなんかないよ」
お兄ちゃんは、そっと私の手を取った。
「のぞみがいるから、お兄ちゃんは頑張れるんだよ…。いつでも、どんな時でもね」
「…うん」
そうだよね。
ずっとそうだった。私も…お兄ちゃんも。