優しいのか冷たいのか、
やっぱり案内人さんは不思議な人だ。

だから、もっと知りたくなっちゃうのかな。




「……ここは綺麗ね。汚れた物が何一つない」

「そうかな。
何も無いから、つまらないと思うけど」

「確かに、ずっと1人でここにいるのは
退屈かもね。でも、案内人さんとだと楽しい」

「はいはい」

「ねぇ、ずっとここに、
案内人さんと一緒にいたらダメなの…?」

「だめだよ」





どうして?と私が聞く前に、
案内人さんは言った。





「君の家族と友達は、
君が帰って来るのをずっと待ってるよ」





ドクンッと心臓が音を立てる。

い、嫌……その話、嫌。





「俺は全部、知ってるよ」





案内人さんの顔が見れなかった。

あぁ、もう。思い出したくなかったのに。

私は足を止め、案内人さんと繋いでいた手を
スッと離した。











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