道
私たちは分かれ道の右に進んだ。
「左に進んだらどうなるの?」
「こことはまた、違う所に行くよ」
「じゃあ、こっちに進むとどこに辿り着くの?」
「君の行くべき所」
私の質問に、彼は全て答えてくれるけど、
なんだか全部曖昧で、よくわからない。
「じゃあ、ここはどこなの?」
「君がいたらダメな所」
「変なの」
彼とは話したことも、
会ったこともなかったのに
すごく安心する。落ち着く。
「ねぇ、今は夜中なの?」
「ここはずっと暗いよ」
「朝はないの?」
「朝も夜もないよ。ずっとこの暗さ」
「今は何時なの?」
「時間はないよ」
やっぱり、よくわかんない。
すぐ答えてくれるけど、
なんの説明もない。
わざとなのか。
「……貴方は一体、何者なの?」
私のその質問に、
彼は少し間を空けてから答えた。
「俺は、ただの案内人」
私は本当に、変な人に会ってしまったらしい。
どれくらい歩いたかわからない。
ただずっと、私が質問して、
彼が答えてを繰り返しながら、歩いている。
月もなければ星もない、
雲一つない群青色の空とか、
誰もいないこの空間とか、
このよくわかんない変な案内人さんとか、
私にとって非日常的で、
ほんの少しワクワクした。
「まだ着かないの?
なんかもう飽きちゃったよ」
「……君は、家族や友達に
会いたいとか思わないの?」
この道を進み始めてから
彼が初めて私に質問した。
私は質問の内容より、
彼が私に質問したという事に
驚きを隠せなかった。
「……あぁ、家族。
うーん、別に会いたいとは思わないよ。
だって、案内人さんとお話する方が楽しい。
あと、私に友達はいないの」
「そっか。じゃあ、まだまだ歩かなきゃね」
案内人さんの『じゃあ』の意味が
全くわからなくて、私は思わず首を傾げる。
「ねぇねぇ案内人さん」
「なに」
「どうして髪色ピンクなの?」
「目立つでしょ、ピンクだと」
「うん。すっごい目を引く。綺麗ね」
「……楽しそうだね」
「楽しいよ。案内人も楽しい?」
「俺は別に」
「えー」
「左に進んだらどうなるの?」
「こことはまた、違う所に行くよ」
「じゃあ、こっちに進むとどこに辿り着くの?」
「君の行くべき所」
私の質問に、彼は全て答えてくれるけど、
なんだか全部曖昧で、よくわからない。
「じゃあ、ここはどこなの?」
「君がいたらダメな所」
「変なの」
彼とは話したことも、
会ったこともなかったのに
すごく安心する。落ち着く。
「ねぇ、今は夜中なの?」
「ここはずっと暗いよ」
「朝はないの?」
「朝も夜もないよ。ずっとこの暗さ」
「今は何時なの?」
「時間はないよ」
やっぱり、よくわかんない。
すぐ答えてくれるけど、
なんの説明もない。
わざとなのか。
「……貴方は一体、何者なの?」
私のその質問に、
彼は少し間を空けてから答えた。
「俺は、ただの案内人」
私は本当に、変な人に会ってしまったらしい。
どれくらい歩いたかわからない。
ただずっと、私が質問して、
彼が答えてを繰り返しながら、歩いている。
月もなければ星もない、
雲一つない群青色の空とか、
誰もいないこの空間とか、
このよくわかんない変な案内人さんとか、
私にとって非日常的で、
ほんの少しワクワクした。
「まだ着かないの?
なんかもう飽きちゃったよ」
「……君は、家族や友達に
会いたいとか思わないの?」
この道を進み始めてから
彼が初めて私に質問した。
私は質問の内容より、
彼が私に質問したという事に
驚きを隠せなかった。
「……あぁ、家族。
うーん、別に会いたいとは思わないよ。
だって、案内人さんとお話する方が楽しい。
あと、私に友達はいないの」
「そっか。じゃあ、まだまだ歩かなきゃね」
案内人さんの『じゃあ』の意味が
全くわからなくて、私は思わず首を傾げる。
「ねぇねぇ案内人さん」
「なに」
「どうして髪色ピンクなの?」
「目立つでしょ、ピンクだと」
「うん。すっごい目を引く。綺麗ね」
「……楽しそうだね」
「楽しいよ。案内人も楽しい?」
「俺は別に」
「えー」