彼女は渡さない~冷徹弁護士の愛の包囲網
「君はそうなのかもしれないな。僕はそう思わない。人生何があるかわからないじゃないか。危険はつきものだ」

「危険はつきものって、ひどくないですか?それに、私一生結婚しなくても、先生のところでずっと働かせていただくつもりです」

「当たり前だ。水世が辞めたら、また秘書を新しく雇って辞めさせるかもしれない。ろくなことにならない」

「そうじゃなくて……」

「君を脅かす連中とは渡米前に片をつけるつもりでいる。君の身辺をきれいにしてからでないと、渡米しても心配でおちおち仕事もできないからな」

「どうやってそんなこと、無理をなさらないでください!先生に危害が及んだら私……」

「心配するな。大丈夫だ、無理はしない。出張から戻るまでは婚約したままでいた方がお互いいいと思うんだ。結婚については、出張から戻ったらもう一度話し合うということでどうだろう?」

「わかりました。先生はアメリカで縁談もあるし、出張が終わるまでは私が婚約者でいる必要があるんですよね?」

「結婚しているほうがより説得しやすいと思うが、とりあえず婚約でもいい」

 すごい目でこちらを見てる。先生はこんなにお忙しいのに、私の問題を解決してから出張しようとしている。私が出来ることはやるべきだ。

「わかりました。私も先生のために私が出来ることをします。先生の渡米中は、婚約者として先生のマンションへいます。そのほうが仕事の上でもお役に立てるでしょう。先生が戻られたら相談させてください」

「わかった。僕の気持ちは帰国後も絶対に変わらない。君を公私共に手放す気はない」

 先生の目は本気だった。私はびっくりした。

「先生のお父様やご家族が万が一にも私との結婚をお許しになるとは思えませんけど……」

「またそれか。僕の父は検事だ。君の背景を理由に交際や結婚に反対することは、僕の仕事にケチをつけることだと父はわかっているはずだ。心配無用」

 先生のお父様が検事?それならますます迷惑がかかる。私が言い返そうとしたら、先生は忙しいからと言って私を無理に部屋から出した。
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