キスで溺れる同居生活〜年下御曹司は再会した幼なじみを愛し尽くしたい〜
自信なさげにモジモジしていると、紗良ちゃんがむぎゅっと頬をつねった。
「なーに弱気になってんの! マスカレードは唯一ランク関係なくパートナーになれんだよ? チャンスじゃん!」
「そうだけど……」
いざ本番になると緊張しちゃう……!
「大丈夫だって。思い切って行ってきな」
そう言って紗良ちゃんは仮面を渡してくれた。
仮面を付けてみたら、もう私じゃないみたい。
どこかの国のプリンセスに見えなくもない。
自分じゃないような気がして、これなら一歩踏み出せるかも……?
「紗良ちゃん、私頑張るっ!」
「ファイト!」
紗良ちゃんに送り出され、私は扉の前で深呼吸をする。
この扉を開けたら、そこは非日常的なマスカレードパーティーの世界が広がっている。
みんな綺麗なドレスやタキシードに身を包み、その誰もが仮面を付けている。
なんてミステリアスでゴージャスな世界。
これが学校なんだから、改めて糸奈学園って特殊だなぁと思ってしまう。
いつもは制服とネクタイの色ではっきりとランク付けされているけど、今は誰が誰だかなんてわからない。
しかも顔を隠してるんだし、堂々としていよう。
私はもう一度深呼吸し、ゆっくりとパーティー会場へと歩みを進めた。
「わあ、すごい……!」
三年目にして初めてのマスカレード。
見るものすべてがキラキラと輝いていて、ドギマギしてしまう。