【連載中】エリート調香師は、初心な新妻を口説き落としたい。
見合いの席を辞した後、車の中で母が振り返って「どうだった?」と唇が動く。
心彩はしばらく考えてから、手話で答えた。
『よくわからない人でした』
母がくすりと笑った。
『でも、嫌な感じはしなかった』
心彩は窓の外を見た。
よくわからない人。それは確かだった。
感情が読めなかったし何を考えているのかわからない。
でも、あのメモの文字たちは、どれも不誠実な感じがしなかった。