【連載中】エリート調香師は、初心な新妻を口説き落としたい。



 見合いの席を辞した後、車の中で母が振り返って「どうだった?」と唇が動く。

 心彩はしばらく考えてから、手話で答えた。


『よくわからない人でした』


 母がくすりと笑った。


『でも、嫌な感じはしなかった』


 心彩は窓の外を見た。

 よくわからない人。それは確かだった。
 感情が読めなかったし何を考えているのかわからない。

 でも、あのメモの文字たちは、どれも不誠実な感じがしなかった。

 


< 11 / 23 >

この作品をシェア

pagetop