【連載中】エリート調香師は、初心な新妻を口説き落としたい。




 その夜、心彩は新居の夫婦の寝室で一人。小瓶を手のひらに乗せてじっと見つめた。

 窓の外には、東京の夜景が広がっている。音のない夜。いつもと変わらない静寂。でも何かが、確かに変わった夜だった。

 沈丁花の香りをもう一度確かめた。

 甘く、少し遠くから来るような香り。その奥に潜む、名前のわからない花の気配。

 この人のことを、もう少し知りたいと思った。

 そして、いつの間にか寝てしまった。





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