『Special Edition③』


「自分でするのに……」
「いいからいいから」

 愛しの妻と久しぶりに風呂に入り、夫婦水入らずの時間を過ごした。
 相変わらずたわわな胸は健在で、本人は恥ずかしさで必死に隠そうとしていたけど、全然隠せてないのが可愛らしい。

 正月休みで訪れたあの温泉旅行で授かったと言ってもいいと思う。
 予定日から逆算すると、大体あの日のあたりだったから。

 つぐみ本人も、お伊勢参りして授かったと言うくらいだから、たぶんそうだろう。
 忍もちゃっかり、『いもうとがほしいです!』と大声でお願いしてたくらいだから。

 寝室のベッドに座らせ、妻の髪の毛にドライヤーを当てて乾かしている。
 くすぐったいのか、はずかしいのか、じれったいのか。
妻は時折振り返るように顔を捻り、俺の瞳を見つめて来る。
くそっ、その顔も可愛すぎんだろっ。

 二人目を妊娠して、また暫くお預けの日々が俺を待ち受けている。
 世の中、妊娠していてもする夫婦もいるらしいが、やっぱりどこか不安で。
つぐみは安定期に入れば軽くなら~とか言うが、し始めたら軽くも激しくも手加減なんて出来るかっての。

 さらりとした長い髪を一掬いし、そっと口づける。

「二人目を産んでも、パパじゃなくて、夫として見てくれよな」
「っ……何言ってるの?……今さらじゃない」
「子供ができると、妻ではなく、母親になるとかよく言うだろ」
「それ言うなら、妻じゃなくて女じゃない?」
「どっちも一緒だって」
「……そう?」
「とにかく、俺にとっては女も妻もつぐみしかいないんだからな?」
「当たり前のこと言わないでよ。他に女の人がいたら、怖いじゃない」

 昔からズバッと言っても、のらりくらり交わされてしまう。
 この極上の女を虜にするには、どうしたらいいんだろうか。
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