『Special Edition③』
髪を乾かし終わり、ドライヤーをドレッサーに片付ける。
つぐみは『明日の準備して来るね』と言い、ウォークインクローゼットの中へと消えてしまった。
恐らく、明日俺が着るスーツとYシャツ、ネクタイなどの用意をしているのだろう。
『しなくていい』と言っても、『妻の仕事を取らないで』なんて可愛らしく言い返して来る。
完全に手懐けられていると言っても過言じゃない。
妻の後を追い、ウォークインクローゼットの中へと。
案の定、Yシャツとスーツの色に合わせて、ネクタイ選びをしていた。
そんな妻を後ろからそっと抱きしめる。
「ッ?!……脅かさないでよっ」
「ごめん」
そうだった。
今は妊娠初期。
不安定な状態は避けるべきだったな。
「峻の方こそ……」
「ん?」
「二人目産んで、体型が元に戻らなくても、幻滅しないでよね?」
「するわけないだろ」
「浮気したら、地獄に突き落とすわよ?」
「妊婦らしからぬ発言だな」
「フフッ、……刑法第何条とか言わないの?敏腕弁護士さん?」
「……一本取られたな。刑法第222条、脅迫罪な」
頭のいい女は、口説くのも手懐けるのも手が焼ける。
「愛してる」
「……私も、愛してます」
拘束する腕の中で体の向きを変えた彼女は、珍しく背伸びをしてキスをせがんで来た。
そういえば、忍の時もそうだったな。
妊娠した途端に甘え上手になって、俺をヒヤヒヤさせたっけ。
「おねだりはキスだけ?」
「う~ん、キスしてくれたら、添い寝してあげる」
「フッ、毎日一緒に寝てんじゃん」
「そうだったかしら~?……キャッ」
「邪魔するチビ助いないから、今夜のお楽しみ時間はたっぷりあるな」
「っっ~~」
子供が産まれても、歳を重ねても。
こうしてお互いのぬくもりを感じれる日々が、一番の幸せだ。
~FIN~


