募る想いは果てしなく
 初対面での出来事を思い出す。
 凄いテンションで喜びを露にしていた七瀬の気持ちが、この時になってようやくわかった。
 大袈裟でもなんでもなく、本当に、念願叶っての俺の起用だったのかと。

 正直、一抹の不安はあった。
 女性が多い店舗はトラブルも多いから。
 けれど七瀬からこの話を聞いた時、胸の中に渦巻いていた不安要素は全部消えた。

 彼女も相当悩んでいたのだろう。
 スタッフ同士の仲は良く、互いに連携は取れているように見えても、果たしてこの生温い状態が、自身やスタッフの成長に繋がるのか。
 七瀬の中で答えは否、だったんだ。
 だから男性社員が欲しいと本部に伝えたのだから。

 今の職場は緊張感や向上心が薄れかけている。
 だから本来あるべき職場環境に戻したい――

 その為の俺の起用なんだとしたら。
 俺はその希望に応えなければならない。
 そして、応えたいとも思った。
 責任感が強く、けれど強すぎるあまりに弱音も吐けない立場にいる彼女を、隣で支えてあげられる誰かがいるとすれば、それは同じサブマネでもある自分の役目だと思ったから。

 ……いや。
 これはサブマネ以前に、個人的な感情も含まれている。
 今思えばあの日から既に、俺は七瀬に惹かれていたんだ。
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