募る想いは果てしなく
 早坂は北海道生まれの雪国育ちだ。
 物心ついた頃から雪なんて見慣れている。
 だから珍しくも何ともないのだろう。
 対して雪とは無縁な環境にいた人間だっている。私がそうだ。
 だからついはしゃいでしまったけれど、そんな私とは裏腹に早坂は冷めた反応しか返してくれない。この温度差が虚しい。

 呆れつつも彼の服装に視線を落とす。
 ロング丈のチェスターコートを上品に着こなしている姿は清潔感に溢れている。
 クールな表情は端正な顔立ち。
 俗にいうイケメンの部類に入る。と思う。

 不意に悪戯心が湧く。
 薄情な横顔を崩してみたくて。
 だから、彼の腕に思いっきりしがみついてみた。
 抗議の目を向けてきた早坂にとびきりの笑顔を返す。

「だめ?」
「……別にいいけど。寒いしな」

 妙な納得の仕方をしてそっぽを向く。
 ぶっきらぼうな態度が可愛くて、私は口元を緩ませた。
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