募る想いは果てしなく
 ナチュラルショートの前髪がふわりと揺れる。
 身長は私より頭ひとつ分高い。
 普段は背筋を伸ばして颯爽と歩くのに、この寒さのせいか、今は少しだけ猫背気味。

 彼は同じ店舗で働く同僚のひとりだ。
 店長代理を務める私の補佐役として、サブマネージャーという役職に身を置いている。
 早坂(はやさか)一沙(かずさ)、それが彼の名前。
 女の子っぽい名前を少しだけ気にしてるみたい。

「あ、また降ってきた」

 夜空から細やかな雪が舞い落ちてきた。
 深い闇夜に溶ける結晶、辺りは煌めくイルミネーション。
 幻想的な光景につい声も弾んでしまう。

「ホワイトクリスマスになるかな?」
「さあ」
「今年はどっちだと思う?」
「どっちでもいい。寒い」

 ピシャリと会話を打ち切られ、一気に気分が降下する。

「もう。ムードってもんがないよ早坂クンは」

 むうっと頬を膨らませる。
 早坂から反論の声はない。
 コートのポケットに両手を突っ込んだまま、静かに吐息を漏らしていた。
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