募る想いは果てしなく

絶望の夜の果て

5



 ――七瀬がこの場を去った直後。
 後部座席から、鋭い視線が突き刺さる。
 やれやれ、と力なく笑い返した。

「……あのな鈴原。俺を睨んで何になる」
「だって……」

 その煮え切らない様子に苦笑い。
 何を言いたいのかなんて嫌でもわかるけど。
 こればかりはどうしようもない。

「仕方ないだろ。七瀬が自分達で話し合うって決めたんだから」

 もし七瀬が「助けてほしい」と。
 俺にそう縋ってくれたなら。
 多少強引でも、2人の間に割り込んで戒めるのに。

 でも七瀬はそうしなかった。
 他人を巻き込みたくないのだろう。
 責任感が強いのは昔から知ってるし、尊敬してる部分でもあるけれど、今回ばかりはいささか、七瀬が無理し過ぎている気がしなくもない。

 やっぱり引き止めようか。
 本当は、何度もそう思ったけど。

 所詮、俺は部外者に過ぎない。
 そしてこれは当事者達の問題だ。
 その本人達が2人で解決すると決めた以上、部外者が無神経に介入できる立場にない。
 注意を促すことはできても、止めることはできない。

 自分なりに考えて導き出した結論。
 それが正しい判断だったのかはわからない。
 それでも、出来うる限りの助言や忠告はしたつもりだ。
 けれど鈴原はいい顔をしなかった。
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