🕊 平和への願い 🕊 【新編集版】 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』にリスペクトを込めて。
2
深い森の中に濃い靄が立ち込めていた。
静寂が支配し、生き物の気配は感じられなかった。
葉音すら聞こえなかった。
突然、音が響いた。
甲高い音だった。
その音に導かれるように靄が動き出し、モーセが海を開いたように一本の道が現れた。
その道の先に草むらがあり、そこに小さな体が横たわっていた。
生まれたばかりだろうか、裸の赤ん坊が泣いていた。
その傍には白い髭を長く伸ばした老人が立っていた。
その人はしばらく赤ん坊を見つめていたが、あやすためか、腰を落として手を差しのべた。
抱き上げると、その子に向かって語り始めた。
「赤子よ、父と同じウラジミールという名を持つ赤子よ、今から話すことをよく聞きなさい。例えそれがどんなものであろうと耳を背けてはなりません。なにしろ、今から話すのはお前の人生そのものだからです」
すると、赤ん坊は泣き止み、小さな両の手を伸ばして老人の髭に触れた。
その途端、愛らしい笑みがこぼれた。
両頬にはえくぼが浮かんでいた。
深い森の中に濃い靄が立ち込めていた。
静寂が支配し、生き物の気配は感じられなかった。
葉音すら聞こえなかった。
突然、音が響いた。
甲高い音だった。
その音に導かれるように靄が動き出し、モーセが海を開いたように一本の道が現れた。
その道の先に草むらがあり、そこに小さな体が横たわっていた。
生まれたばかりだろうか、裸の赤ん坊が泣いていた。
その傍には白い髭を長く伸ばした老人が立っていた。
その人はしばらく赤ん坊を見つめていたが、あやすためか、腰を落として手を差しのべた。
抱き上げると、その子に向かって語り始めた。
「赤子よ、父と同じウラジミールという名を持つ赤子よ、今から話すことをよく聞きなさい。例えそれがどんなものであろうと耳を背けてはなりません。なにしろ、今から話すのはお前の人生そのものだからです」
すると、赤ん坊は泣き止み、小さな両の手を伸ばして老人の髭に触れた。
その途端、愛らしい笑みがこぼれた。
両頬にはえくぼが浮かんでいた。