心が解けていく




私の気持ちに気づいてくれるし、私の欲しい言葉もくれる。


性格だって、優しさと気遣いの塊で。




でも敢えて言えば…。




「優しすぎて怖い、です」


「何か隠してるんじゃないかって?」


「まだ欠点が見当たらなくて、猫かぶってるとか考えちゃいます」


「優しすぎるは、愚痴に入らないな。それただの惚気だもん」





いや、部長も惚気でしたよ。


私の話に被せてもう一つ愚痴があったと話し始めたけど、そろそろ駅に着いてしまう。



駅は同じだけどホームは違う。


このままの勢いでは、定時終わりのサラリーマンと一緒に帰る時間まで、過ごしてしまいそう。




「部長。その話、明日仕事しながら聞きますから。今日は家に帰って、ゆっくりしてください」


「…そう?それもそうね。会社の方が良いかも。愚痴を言いながら仕事すると、捗るのよ」


「じゃあ是非、そうしましょう」




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