深瀬くんが甘すぎる
どさっ、と荷物が置かれる音がすぐそばでして、そこで私の思考は唐突に打ち切られた。
投げやりな感じで隣の席に置かれたカバンに、嫌な予感が命中してしまったことを悟る。
そろり、と隣の席を窺うと無表情で椅子に腰を下ろした深瀬くんと、あろうことか目が合った。
真正面から見たその瞳は透き通っていて、引き込まれそうな深さがある。
思わずそのまま目を離せずにいると、整った眉をひそめた深瀬くんが「…なに」と感情の乗らない低い声で呟いた。
やばい、もしかしたらガン飛ばしたと思われたのかも。
全然そんなつもりじゃなかったけど、深瀬くんから見たらそう思っても仕方ない…むしろそう思われて当然かもしれない。
とりあえず、何か言ってごまかさないと。