深瀬くんが甘すぎる
その後も二人で他愛もない話をして、共感して、たまに本心とは違うことを言って。
そうしてわたしはクラスに溶けこめていることを確認して安心するのだ。
この教室の中でフリだけでも多数派でいられることに今更ながらほっとする。
志穂と話す中で、ふと深瀬くんの横顔が目に入った。
スマホゲームをしている様子もないのに、やけに真剣そうな目で画面をみている深瀬くん。
周りの意見に左右されてしっかりした自分のないわたしには、集団の中で我が道を突き進むその姿が――羨ましかった。