深瀬くんが甘すぎる
「やっぱり緊張なさいますよね。実は、ひまりさんと同じくらいの年頃の息子がいるんです。ひまりさんさえ良ければ、そちらに店内を案内させても良いですか?」
「…はい」
断るのも失礼だと思って、そう頷く。
「伊織、ちょっとこっちに来てくれる」
聞き覚えのある名前に首を傾げる。
奥の襖から、深い緑色の着物を纏った青年が現れる。
歩いてこちらに来るだけで、その美しい立ち振る舞いが感じられた。