少女と過保護ーズ!!続
『行く‼行くからっ‼もう二人には手を出さないで‼』


『ダ・・・メ・・・・だ。チビ・・・姫・・・‼』


『行く・・・な』


『ごめんね。ごめんなさい。あたしのせいで・・・ごめんなさい』




チビ姫のせいなんかじゃねぇ‼



そう言いたいのに声が出ない。



大きな猫瞳から流れる涙。



田中に覆い被さってたチビ姫が立ち上がる。



行くな‼


俺らのことはいいんだ‼


動けっ‼身体っっ‼



田中が手を伸ばすも、それをチビ姫が取ることはなかった。




『花音さんがもうすぐ来るから、それま・・・・』




喋ってる途中で肩を掴まれ連れていかれようとするチビ姫。


最後まで俺らを見ていたチビ姫の瞳が見開かれ、喉が張り裂けんばかりの絶叫を上げた。






「止めてーー‼‼」





そこで俺らの意識は途絶えた。



気付いたときには病院で。



花音さんが険しい顔で俺たちに付き添ってくれてた。




「クソっ‼クソォッ‼‼‼」





守れなかった‼



"ゴブさん‼‼"



いつもそう呼んで笑いかけてくれる愛しい子。



俺ら、一般人から煙たがられ恐がられる暴走族、嫌われ者を全部まるごと包み込み、守りたいんだと言ってくれる優しい子。



無事で・・・どうか無事で‼



真理亜が離した腕を額の前で祈るように組む。



ここで待つことしか出来ない自分を殺したくなる。



今まさに、チビ姫は危険に晒されてるかもしれないのにっっ‼



「おーい‼‼おーい‼‼」




"シャーウッド"の様子を見に行ってた仲間がかけてくる。



まさかっ‼‼




田中と二人、立ち上がって仲間の元へ走る。




痛む頭に、縺れる足。




早く動け‼




「今っ‼電話があった‼チビ姫を取り戻したって‼こっちに向かってるって‼」




俺らを見て、そう告げて笑う仲間。




・・・・・・・・・・・・・・・・




「本当かっ‼??」




田中が叫ぶ。


ようやく喋った。




「ああ‼竜希さん、総長が言うんだぜ‼間違いねぇよ‼」


「ああああ。ハイネちゃん‼」



ヘタヘタとその場にしゃがみこむ真理亜。



「怪我は‼??」


「そこは言わなかった・・・」




チビ姫が帰ってくる‼



俺らには、もうチビ姫の側に居る資格はないけれど。



でもどうか一目だけでもーーーーーーーーー。
< 280 / 453 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop