少女と過保護ーズ!!続
「俺らはっ・・・」


「そう言ってもらえるような・・・・」


「ハゲさん。ゴブさん」


「「・・・っっ」」




呼べば、体を震わせてこっちを見る。


捨てられた子犬のようだ。


図体はデカいけど。



「あたし、スッゴい冒険したんだよ‼」


「「へ??」」



なんとも間の抜けた二人の表情と声にあたしは笑ってしまう。



「題して・・・崩れる教会から脱出せよ‼」


「まんま」


「いや・・・うん。思いつかなんだ・・・」




麻也のツッコミに頷くしかない。



あたしとしたことが・・・・。

これじゃあ竜希さんだ・・・。




「あ?」





もう限界が近かった。


目が開かない・・・。



「次に目が覚めたら、あたしの大冒険を語り聴かせてあげるから、ちゃんと側に居てね」




二人が下を向いてしまう。



わかってるよ。



"黒豹"を辞めようとしてるの。



だけど、そんなのダメだ。




「俺らにはもうそんな資格は・・・・」


「チビ姫の側にはもう居られ・・・」


『返事はっっ‼??』



‼??



「やっくん!?」


「ややややややや八雲さん!?」




突如八雲さんが吠えた。


びっくりした‼


八雲さんを見れば、目をかっ開いてハゲさんとゴブさんを睨んでる。




「でもっ八雲さん‼俺らはっ‼」


「お前らのせいじゃねぇ」




八雲さんの言葉に笑って頷くあたし。




「でも・・・・」


「ハイネが・・・。ハイネが言ってんだ。」




そう。


あたしが言ってんだ。




「返事は?ハゲーズ」


「返事してくれないとおちおち治療も受けられないよ」


「「‼??」」



居なくならないで。




「罰が欲しいなら、後でチビネに考えてもらえ」


「早くして。治療を受けさせないと」


「ハゲーズ」



蓮くん、麻也、桂。


そして。



「"姫"にここまで言わせといて逃げるのか?腰抜けどもが」




ハゲーズを睨み付けて竜希さん。


腰抜けどもって。


ぐっと唇を噛み締める二人。




ごめんね。


でもあたしは二人には居なくなってほしくない。


二人と一緒にまだまだ笑っていたい。


二人が大好きだから。



「側に居たい」



「冒険話、楽しみにしてる」


「うん‼」



あたしの目を見て、しっかり頷いてくれた。



ああ。

良かった。



助け船を出してくれた八雲さんを見れば、笑ってくれる。



満足そうなその笑みに力が抜けた。



そして力尽きた八雲さんが倒れる。



八雲さん‼




「八雲っっ‼‼」




あたしももう限界だった。



「ストレッチャー‼早く‼」


「爺ぃっっ‼」


「ハイネ‼」


「「チビ姫‼‼」」



あたしはいいから。


どうか八雲さんを先にーー。



お願い。



ハゲさんとゴブさんの手の暖かさを感じながら、意識を手放した。
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