騙すなら墓場まで



 思い切ってそう伝えてみると、「悪いことではございません」と消え入りそうな返事をされてしまった。


「それなら今日にでも会いましょう。気になって何も手につきませんから」

「……そうですか。確かに早いほうが良いかもしれません」


 土門さんは声をひそめると、萩野さんに協力してもらってカフェで落ち合う流れを説明してくれた。


「今から萩野さんに迎えに来てもらって、カフェまで送ってもらう……」

「はい、時間は十分ほどですみますので」

「わかりました。住所ですが──」


 私はレジデンスの場所を伝え、「お待ちしています」と電話を切った。それから大急ぎでクローゼットに入っていたシャツワンピースに着替え、正恵さんを探した。


「正恵さん、今からちょっとだけ友だちと会ってきます」

「今からですか?」

「はい、十分だけ」


 正恵さんは「一時間でも二時間でも遊んできても良いでしょうに」と言いながら髪を手早くまとめてくれた。


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