騙すなら墓場まで
俺はその日から、猛勉強し身体を鍛えた。警官になってあの男の罪を暴き、両親や被害者たちの無念を晴らしたい。その執念とも言える願いだけが、俺を生かし、動かしていた。
同級生とのコミュニケーションも取るには取っていたが、最低限に留めていた。そんな時間があるなら勉強や運動に費やしたいし、憎悪を胸に突き進む俺には眩しかったのもある。
そんなだから、学校では少し浮いていたと思う。誰とも話さないわけではないが、いつも連む仲間はいなかった。
──坊っちゃん、ご友人と遊びにいかれてはいかがですか?
正恵さんにそう促されたのは一度や二度ではない。養父母も忙しい身だろうに、俺を遊園地や動物園に連れていってくれた。
そんなときは、擦り切れたと思っていた心がさすがに痛んだ。
それでも、俺を止めるブレーキにはなりえなかった。
あの男に手錠をかけるその日まで、俺は止まるわけにはいかない。
できるなら、誰も巻き込みたくもなかった。