神に選ばれなかった者達 後編
カプセルが壊れ、中の液体が溢れたことによって。
カプセルに入っていた「中身」…気味の悪いコウモリのなり損ないが、床にびちゃっ、と落ちた。
液体保存されていたということは、外気に触れると…。
「うわっ…」
グロいものなんて見慣れているはずのふぁにでさえ、思わずドン引きしてしまった。
カプセルという楽園から追い出され、冷たい外気に触れた「それ」は。
さながらイモムシのように、ぐにゅぐにゅ、ぐねぐね、と床をのたうち回り。
目をぎょろぎょろさせて、小枝みたいな手足をジタバタさせた。
しかも。
「クィィィィィキュアァァァァ」
意味不明な、断末魔の叫びをあげている。
非常に甲高い悲鳴で、思わず耳を塞いでしまった。
多分、マンドラゴラの悲鳴ってこんな感じなんだろうな。
聞いたことないけど。
「っ…。ふぁに、こいつ…とどめ、刺してくれないか」
同じく耳を塞いだ李優君が、ふぁににそう頼んできた。
マジ?そんな重要な役割、ふぁにがやるの?
でも、響也君の錐も、いそら君の鉄パイプも折れてしまってるし。
こんな時くらい、ふぁにも頑張るよ。
ふぁには耳から手を離し、弓矢をつがえた。
そして、のたうち回っている肉の塊に狙いを定めた。
こいつはとても人間には見えないが…。一応、狙うのは心臓の部分。
苦しそうに、断末魔の叫びをあげるそいつに向かって、弓をいっぱいに引いた。
…そうだよな。苦しいよな、生きてるのって。
…分かるよ。
救ってやることは出来ない。ふぁににはそんな力がない。
だから、ふぁにが苦しんでるあんたさんに、してあげられることは…一つしかない。
「…今、楽にしてやるからな」
せめて、その苦しみと共に、永遠に命を終わらせてやることだけ。
それだけだ。
ふぁには、弓を引いた。
放たれた鋭い矢が、過たず(あやまたず)にバケモノの心臓を貫いた。
「クフェッ」
最後に一鳴きして、バケモノは舌をだらんと垂らし、息絶えた。
どす黒い血が、傷口からてろてろと流れていた。
…何だろうな。苦しみから救ってやった…はずなのに。
バケモノを殺す度にふぁには、そのバケモノが…ほたるの姿みたいに見える。
こんな風にしてほたるは、眠りについたんじゃないかって。
…考える必要はない。余計なことは。
カプセルに入っていた「中身」…気味の悪いコウモリのなり損ないが、床にびちゃっ、と落ちた。
液体保存されていたということは、外気に触れると…。
「うわっ…」
グロいものなんて見慣れているはずのふぁにでさえ、思わずドン引きしてしまった。
カプセルという楽園から追い出され、冷たい外気に触れた「それ」は。
さながらイモムシのように、ぐにゅぐにゅ、ぐねぐね、と床をのたうち回り。
目をぎょろぎょろさせて、小枝みたいな手足をジタバタさせた。
しかも。
「クィィィィィキュアァァァァ」
意味不明な、断末魔の叫びをあげている。
非常に甲高い悲鳴で、思わず耳を塞いでしまった。
多分、マンドラゴラの悲鳴ってこんな感じなんだろうな。
聞いたことないけど。
「っ…。ふぁに、こいつ…とどめ、刺してくれないか」
同じく耳を塞いだ李優君が、ふぁににそう頼んできた。
マジ?そんな重要な役割、ふぁにがやるの?
でも、響也君の錐も、いそら君の鉄パイプも折れてしまってるし。
こんな時くらい、ふぁにも頑張るよ。
ふぁには耳から手を離し、弓矢をつがえた。
そして、のたうち回っている肉の塊に狙いを定めた。
こいつはとても人間には見えないが…。一応、狙うのは心臓の部分。
苦しそうに、断末魔の叫びをあげるそいつに向かって、弓をいっぱいに引いた。
…そうだよな。苦しいよな、生きてるのって。
…分かるよ。
救ってやることは出来ない。ふぁににはそんな力がない。
だから、ふぁにが苦しんでるあんたさんに、してあげられることは…一つしかない。
「…今、楽にしてやるからな」
せめて、その苦しみと共に、永遠に命を終わらせてやることだけ。
それだけだ。
ふぁには、弓を引いた。
放たれた鋭い矢が、過たず(あやまたず)にバケモノの心臓を貫いた。
「クフェッ」
最後に一鳴きして、バケモノは舌をだらんと垂らし、息絶えた。
どす黒い血が、傷口からてろてろと流れていた。
…何だろうな。苦しみから救ってやった…はずなのに。
バケモノを殺す度にふぁには、そのバケモノが…ほたるの姿みたいに見える。
こんな風にしてほたるは、眠りについたんじゃないかって。
…考える必要はない。余計なことは。