キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
「あのね、晴さん。お店までってあと少し?」
「うん。どうして?」
「良かったら車、この辺に停めてお店まで少し二人で歩きたいな」

私はわがままを言ってると分かってるけど、いつものように晴さんを見ると黙って頷いてくれた。
そして近くの駐車場へと車をとめる。

「分かってると思うけど、無理したらすぐ帰るからね」
「うん」
「小夏は言い出したら聞かないから」
「外の風が吸いたくなった。あと、晴さんと手を繋いで歩きたくなった」

晴さんは車を降りて、黙ったまま私の手を握り歩き出した。

「晴さん、私は全然大丈夫だから。心配しないで」
「心配するよ」

晴さんの握った手の力が少しだけ強くなる。

「小夏が周りのことばかり考えて、我慢したり泣いたりしてる分、僕が小夏のことを心配する」
「分かってるよ。でもあと少しだけ分かってて。強がらせて欲しい。今は弱くはなりたくないの。だってbihukaはこの夏で終わってしまうから。最後まで最高の日々を過ごせるように走り抜けたいんだ」
「もっと無理したいってこと?」
「そうかもしれない。心のままに、やれること全部やりたいから。そんな時は私のことを無茶とか無謀とか言わないで。見守ってて」

私は、晴さんだから心からのワガママを伝えることができた。
晴さんじゃなきゃ適当にごまかして、嘘ついて、やり過ごしてた。
晴さんが私に真っ直ぐ向き合ってくれるから。それを返していきたいと思う。
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