キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
星を見たあと、2人でまた温泉に行き夜ご飯を軽く済ませた。
晴のご実家へ再び帰ると、お父さんとお母さんが暖かく迎えてくれた。
お母さんは私の本当の姿を昨日温泉で見てたけど、お父さんは初めて見たはずなのに変わらずにいてくれた。

そしてまさかの晴が「小夏は僕の彼女だから。一応伝えとく」と言うものだから、慌てて「よろしくお願いします」と頭を下げた。

「あらあら、小夏さんが晴のことをそんなに好いてくれて嬉しいわ。真面目なだけが取り柄な子だけだけど、よろしくね」
「はい、必ず晴さんを幸せにします」
「小夏、それ僕の台詞じゃない?」
「ん〜そうかな?」
「小夏さんは歌手なのよね」
「そうです。活動自体はこの夏で終わりなんですけど」
「出来たら今度、私達も聴きに行っていいかしら?」
「ぜひ、チケットご用意しますね!」
「楽しみにしてる……」

最後に晴のお父さんがすごく嬉しそうに話したので、私は心から嬉しくなった。
お父さんとお母さんはゆっくりしていってねと居間の方へ戻って行った。

「さて、小夏は今日は僕の部屋で寝て」
「あの、急展開が過ぎませんか?」
「バーカ、何を妄想してる。身体が心配だからだ! また診察もしたいし近くで様子を見たい。ご飯もまともに食べないし貧血もあるし本当なら入院させてもいいくらいなんだぞ」
「すみませんでした……」

私は大人しく晴の部屋に行った。

「あとで僕が布団持ってきて寝るから、小夏はベッドでもう寝てて」
「分かった」

ベッドに入ると、晴の匂いに包まれた気がした。
枕に顔を埋めて思い切り嗅いでみる

「それ、落ち着くのか?」
「うん!」
「まぁいいけど息苦しくなるから程々にしなよ」
「やだ」
「ワガママばかり言うと注射する」
「それもやだ」
「小夏、治療ではワガママはなしの約束だろ」
「はーい」
「少し休んだら着替えてて。診察するから。僕も着替えと布団とってくる」

晴はそのまま部屋を出ていった。
私も着替えて、晴の布団の匂いを嗅いだり、昨日晴が見てたアルバムを本棚から引き出し、こっそりもう1、2枚気に入った写真を借りることにした。
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