キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
帰り道。晴は運転しながら、いつもよりご機嫌そうにbihukaの鼻歌を歌い笑っていた。
その姿を見てもちろん私もつられて歌いながら笑った。

「小夏、具合はどうだ?」
「いい感じ。でも晴はそればっかり」
「これからはもっと遠慮なく小夏を診られるな」
「何か大変そうだ〜」
「スパルタで行くぞ」

優しくしてよ、と言うといつも優しいだろと返す晴。
確かにそうかもしれない。
晴が厳しくなる時は、決まって私が無理をしたときや苦しい方向に向かっているときだった。
根底にあるのはいつも私への思いだと気付いて、心が震えた。

「本当に大丈夫だから。あの強い薬が効いてるのかな。いつまでも頼るって訳にいかないのは解ってるけど」
「そう。強い薬には必ず副作用が出る。小夏にこれ以上苦しい思いをさせないためにギリギリの選択だった」
「だけどそのおかげで今の私たちの関係がある。だから私、絶対後悔なんかしないよ」

晴は一瞬険しい表情をしたが、車を止めると私のほっぺたを両側から挟んだ。

「僕が後悔するんだよ。小夏の体を痛めつけてることに」
「ひゃってぇ〜」

だって、と言いたいのに、ほっぺたを挟まれててうまく話せない。
まぁいいやと気が済んだのか、晴は手を離してくれた。

そして、車の窓を開けて指をさして言う。

「なぁ、上を見て小夏、星がきれいだよ」

そこには空いっぱいの星が拡がっていて、私はあの人と最後に会った時のことを思い出していた。

「晴。もし……私が死んじゃったら、あそこで星になるから。きっと探してね」
「小夏は僕より先に死なせない。だから探すのは小夏の役目だな」

頑張ってみるね、と終わりの予感を感じながら私は言った。
晴は頷く。晴、一秒でも長くそばにいられたらもう何も望まない。
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