お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
そこには、ブルーダイヤモンドを中心に、三つの小さなダイヤが添えられた、美しい指輪が収められていた。

光が当たるたび、静かに輝く。

……綺麗。


「俺たち二つの家族が一つになることを表現したくて」


雅さんの声が、少しだけ緊張している。


「イメージを紫道くんに伝えて、デザインしてもらった」


ーー右三つ巴のデザイン。

西園寺の家紋と、ヴィッテルスバッハ家に伝わる宝石。二つが、重なっている。


「驚かせたくて……本当に、ごめん」

「……これ、雅さんも関わってるの?」

「本当は全部自分で作りたかった。でも、それはさすがに無理で」


少しだけ照れたように笑う。

……そういうことだったんだ。

私に秘密で、指輪を用意してくれていた。

嬉しい。本当に嬉しい。でも胸の奥に、まだ残っている。消えないものがある。


「……話し合ったあとで」


ゆっくり顔を上げ、彼を見る。


「これを受け取るか、決めたい」


もう逃げない。ちゃんと向き合う。


「……ごめんなさい」


雅さんは、静かに頷いた。


「それでいい」


少しだけ、安堵したように。


「じゃあ……今日は、帰ってきてくれる?」


その一言に、ほんの少しだけ迷う。でも、もう逃げないって、決めたんだ。

小さく、頷いた。




社長室を出ると、ようちゃんと仁さんが待っていた。二人にお礼を伝え、雅さんのマンションで話し合うことを伝える。


「納得するまで話しなよ」


ようちゃんが、まっすぐに言う。


「どんな結論でも、あたしはあんたの味方だから」


……やっぱり、ようちゃんはすごい。

そして、ようちゃんが雅さんに「少し話がある」と声をかけ、私は少し距離を取った。その間に、仁さんが隣に立つ。


「雅にチャンスをくれて、ありがとう」


穏やかな声だった。見上げると、柔らかく笑っている。


「あいつ、この数日ずっと落ち込んでてさ」


少し離れた場所にいる雅さんへ視線を向ける。


「昔から頭はいいのに、姫ちゃんのことになると、途端にポンコツになるんだよな」


その言葉に少しだけ、力が抜けた。
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