お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
「こ、これは……私と雅さんの問題であって、あなたには関係ありません。」


美愛ちゃんの声が震えていた。


「私は西園寺雅さんと結婚するのであって、西園寺家と結婚するわけではありません。」


やはり彼女は、一人の人間として俺を見てくれる。


「私が愛して、一生共にしたい人は、雅さんです。彼が西園寺でなくても、私は雅さんと一緒にいたい」


そして最後に、いよりくんと仲良くするつもりは毛頭ないと付け加えた。

ふと葉子ちゃんと目が合った。彼女は声を出さずに口で「ありがとう」と伝えてきて、俺は笑顔で頷く。

よく言ったね、美愛ちゃん……って、えっ?これってもう、俺と結婚すると言ってくれているんだよね。嬉しすぎる! よし、ここからは俺が美愛ちゃんを守る。


「いよりくんはなぜ、彼女に謝罪したんだ? 本当に悪いと思っているのか?」


ーー誠意の微塵も感じられなかった。


「美愛ちゃんは俺を一人の人間として見てくれている。今までの西園寺の名を欲しがるだけの女たちと彼女を一緒にするな!」


これに対して、いよりくんがまたおかしなことを言ってきた。

マジかよ、しつこいよお前。


「で、でも雅、この子と知り合ってそんなに長くないじゃない? 騙されているわよ!」

「俺たちは15年以上前に出会ってる。彼女のおかげで今の俺と会社があるんだよ」


俺たちの出会いを、知らないくせに。


「何も知らないお前がーーこれ以上大切な美愛ちゃんを侮辱するなら、俺は許さない」


俺が本気で怒っていることを感じたのだろう、いよりくんはそれ以降何も言ってこなかった。せめて自分の非を認めることができればいいのだが。

紫道くんは深々と頭を下げて再び謝罪した後、いよりくんを連れて帰った。紫道くんのビジネスがこのまま良くない方向に進んでしまうのは残念でならない。彼は才能があり人間的にも素晴らしい--早く良い決断ができることを願うばかりだ。

一段落し、俺たちもそれぞれ帰ることになった。銀座のホテルへ帰る葉子ちゃんを、仁がすかさず送ると言い出した。

ほ〜、そういうことか。大和だけでなく、仁にも花村という春が訪れたようだ。

圭衣ちゃんの車で、俺たち三人は送ってもらった。
< 122 / 125 >

この作品をシェア

pagetop