お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
数日ぶりに美愛ちゃんが帰ってきた。LDKが一つの空間にある俺たちの家に足を踏み入れた彼女は、思わず固まって立ち止まった。

そりゃそうだろう。数日いなかっただけで、脱ぎっぱなしのスウェットやスーツ、アルコールの空き缶が至る所に散らかっている。


「ごめん、今すぐ片付けるから」


バツが悪く、スーツと服を拾い上げて脱衣所のバスケットへ持って行った。

初恋の王子様であるはずの俺のこんな一面に、美愛ちゃんは幻滅しただろうか。でも、今さら取り繕っても仕方がない。むしろ結婚する前に知ってもらえたのは良かったのかもしれない。これも俺なのだから。

リビングに戻ると、リサイクル袋を手にした彼女が缶を拾い集めていた。


「二人で片付けた方が早いから」


彼女はキッチンとダイニングを片付け、俺はリビングの缶を黙々と拾う。この空間に、カチャカチャと缶の音だけが小さく響いた。


「雅さん……ご飯、食べてたの?」

「えっ? あ、いや……あんまり腹減ってなくて」

「そんな状態でお酒ばかり飲んでたら、体壊しちゃうでしょう」


今にも泣きそうな顔をしている。こんな時でも情けない俺を気遣ってくれる彼女。

もう、どんな嘘もつかない。ダメな自分も知ってもらわなければならない。

少し間が空いた後、彼女が堰を切ったように尋ねてきた。


「あ、あのね……聞きたいことがあるの」


缶拾いをやめ、美愛ちゃんをソファーへ連れて行き、隣に座った。


「いいよ、何でも聞いて」

「あのね……さっき言ったこと、全部本当の気持ちなの。でも、一つだけ……違うところがあって」

「どこ?」

「わ、私……ずっと考えてたの。私が雅さんに相応しいのかどうか。相応しくないから……家族に紹介してもらえないのかなって」


最後の方では語尾が小さくなっていた。きっと勇気を出して聞いてくれたのだろう。

一緒に住んでから少しずつわかってきたが、美愛ちゃんには可愛らしい癖がある。聞いてほしい時、言いにくい時、焦っている時ーー彼女は「あのね」と言って会話を始めるのだ。

優しく美愛ちゃんの頬を撫でながら、説明した。
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