お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
電話を終えた美愛ちゃんが、6時前には姉が来社できると伝えてくれた。
礼を言い、続けて謝罪しようとする。だが、彼女は一礼だけ残し、社長室から逃げるように出て行った。一度も、こちらを振り返ることなく。
入れ替わるように、大和が飛び込んでくる。鬼のような形相だった。
「雅、お前は何をしたんだ! 美愛ちゃんが泣きながらトイレに駆け込んだぞ!」
……やはり。ずっと、泣くのを堪えていたのか。
俺は、椅子の背もたれに体を預けたまま、天井を見上げることしかできなかった。そこへ、総務部での聞き込みを終えた美奈子さんが戻ってくる。二人に事情を説明すると、反応は明白だった。
俺に対する怒り。それだけを残し、美奈子さんはすぐに部屋を出て行った。
「お前も涼介も、他に方法があったはずじゃないか!」
大和が、俺の目の前にドサッと座り込む。
「……とにかく、早く終わらせたかったんだ」
天井の一点を、力なく見つめたまま言う。
「佐藤麻茉の件を。だから、涼介を待たずに、俺が詰問役を引き受けた」
前かがみに座り直しながら、絞り出すように言葉を続けた。それでも、大和の怒りは収まらない。
「お前は……考えればわかることだろう!」
「美愛ちゃんを傷つけたことは、わかってる」
不意に、喉の奥が詰まる。小さく喉を鳴らし、それを無理やり押し込んだ。
「……でも、誰にもあの子を泣かせたくなかった」
そうだ。たとえ涼介でも、それは嫌だった。あの子の泣き顔を。他の男に見られるなんて、耐えられない。たとえ、それで嫌われてもいい。それでもーーそれだけは、どうしても嫌だった。
気づけば、抑えていた感情が一気に溢れ出していた。
「はぁ……お前」
大和が、深くため息をつく。
「ようやく認めたな。美愛ちゃんへの気持ち」
その言葉に、息が詰まる。
「僕がなぜ、美愛ちゃんを即決で採用したのか……わかるか?」
……今、それを言うのか。
そう思いながらも、俺は何も言えず、大和の言葉を待った。美愛ちゃんの語学力や、秘書としての能力。それが理由だと思っていた。
だが、違うらしい。
「あの子が、お前の探していた子だとわかったからだよ」
心臓が、強く跳ねた。
「お前も、なんとなく感じていたんだろう?」
礼を言い、続けて謝罪しようとする。だが、彼女は一礼だけ残し、社長室から逃げるように出て行った。一度も、こちらを振り返ることなく。
入れ替わるように、大和が飛び込んでくる。鬼のような形相だった。
「雅、お前は何をしたんだ! 美愛ちゃんが泣きながらトイレに駆け込んだぞ!」
……やはり。ずっと、泣くのを堪えていたのか。
俺は、椅子の背もたれに体を預けたまま、天井を見上げることしかできなかった。そこへ、総務部での聞き込みを終えた美奈子さんが戻ってくる。二人に事情を説明すると、反応は明白だった。
俺に対する怒り。それだけを残し、美奈子さんはすぐに部屋を出て行った。
「お前も涼介も、他に方法があったはずじゃないか!」
大和が、俺の目の前にドサッと座り込む。
「……とにかく、早く終わらせたかったんだ」
天井の一点を、力なく見つめたまま言う。
「佐藤麻茉の件を。だから、涼介を待たずに、俺が詰問役を引き受けた」
前かがみに座り直しながら、絞り出すように言葉を続けた。それでも、大和の怒りは収まらない。
「お前は……考えればわかることだろう!」
「美愛ちゃんを傷つけたことは、わかってる」
不意に、喉の奥が詰まる。小さく喉を鳴らし、それを無理やり押し込んだ。
「……でも、誰にもあの子を泣かせたくなかった」
そうだ。たとえ涼介でも、それは嫌だった。あの子の泣き顔を。他の男に見られるなんて、耐えられない。たとえ、それで嫌われてもいい。それでもーーそれだけは、どうしても嫌だった。
気づけば、抑えていた感情が一気に溢れ出していた。
「はぁ……お前」
大和が、深くため息をつく。
「ようやく認めたな。美愛ちゃんへの気持ち」
その言葉に、息が詰まる。
「僕がなぜ、美愛ちゃんを即決で採用したのか……わかるか?」
……今、それを言うのか。
そう思いながらも、俺は何も言えず、大和の言葉を待った。美愛ちゃんの語学力や、秘書としての能力。それが理由だと思っていた。
だが、違うらしい。
「あの子が、お前の探していた子だとわかったからだよ」
心臓が、強く跳ねた。
「お前も、なんとなく感じていたんだろう?」