お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
俺としては、そんな悠長なことをするつもりはなかった。だが、ジョセフさんが佐藤麻茉にチャンスを与えて様子を見ようと提案したのだ。娘を持つ同じ父親としての情けだろう。

悠士兄ちゃんと大和が、すでに佐藤の弱みは押さえている。いざとなれば、逃げ場はない。もっとも、誠意を見せようが結果は同じだ。

それにしても、悠士兄ちゃんと大和の情報網にはいつも感服させられる。昨晩、大和に電話で指示を出し、今朝にはもう佐藤一家を壊滅させるための情報が揃っていた。税務署が佐藤敏夫のしっぽを捕らえられなかったのに。

烏丸一族を敵に回すーーそれがどういう意味か、佐藤はまだ知らない。

そして、慶智の王子たちも動いている。

俺が愛する美愛ちゃんを傷つけた佐藤は、絶対に許さない。今まで甘やかされて育ったであろう佐藤麻茉に、思い知らせてやる。

これは、美愛ちゃんを苦しめた佐藤麻茉へのーー復讐だ。




佐藤親子が来る前に、ジョセフさんと圭衣ちゃんと話す機会があった。

自分の気持ちに素直になり決心した上で、この二人から許可を得るためにお願いをする。
これも、すべて計画のうちだ。

まず、美愛ちゃんを傷つけてしまったことを、謝罪する。昨日圭衣ちゃんから連絡を受けたジョセフさん。どこまで話を聞いているのか、わからない。謝罪を受け取ってくれた二人に話の核心を伝えるーー俺の美愛ちゃんへの愛を。


「もし美愛さんが、私のプロポーズを受け入れてくれるなら、どうか彼女と結婚させてください。お願いします」


頭を下げた。

数秒が経過し、ジョセフさんの声が耳に届く。


「雅君、頭を上げてくれ。はぁ、参ったな。実際にこう来られると」


彼は一度目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた。


「確かに美愛はまだ22歳で、結婚は早いと思っていた。しかし、君たち二人を見るたびにわかっていたんだ。遅かれ早かれ、こうなるって」


彼の顔が、少し寂しげに見える。


「それに、久美子と圭衣から厳しく言われていてね。美愛と王子様の関係を引き裂く真似はするなって」


再び息を吐き、続けた。
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