お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜
「美愛ちゃんが思っていること、昨日感じたこと、俺に対してのこと……すべて聞かせてほしい。どんなことでも受け止める。たとえそれが罵倒であっても」


もう一度優しく声をかけた。少しして、彼女がいつもより小さな声で話し始める。


「き、昨日、今まで聞いたこともない冷たい声と、見たこともない冷たい表情の雅さんに……」


突然みぞおちを手で押さえ、苦しそうにうつむいた美愛ちゃんの頭を優しく撫でながら、ゆっくり深呼吸するよう促した。

……俺のせいで。

落ち着きを取り戻し、今にも泣き出しそうな顔で話す彼女の言葉に、胸が締め付けられた。


「あ、あのね。あんな風に雅さんに問い詰められて、とても悲しかった。何もしていないのに、私が悪いと思わされて。二度とあんな雅さんに接したくないから、引っ越しや会社を辞めることも考えてる……」


言い終わる前に、俺は彼女を抱きしめた。

まさか、退職や引っ越しまで考えていたとは……そこまで追い詰めていたのか。

ただ抱きしめながら、何度も「ごめん」を繰り返す。


「……信用されていないかもしれない。それでも、伝えたいことがある、伝えなければならないことがあるんだ」


美愛ちゃんは相槌を打ちながら、静かに耳を傾けてくれた。

幼い頃からのことを、順番に話した。


「……高校1年生の時、帰宅途中に迷子の女の子に出会った」


あの日のことを、思い出す。


「おそらく5、6歳くらいだったと思う。とてもきれいな目をしていてね。俺にはその子が、まるで天使や妖精のように見えたんだ。でも、なかなか泣き止まなくてね」


美愛ちゃんの目が大きく開いたのを、俺は見逃さなかった。


「その子はお菓子が好きだと言っていたので、カバンの中からフランスのキャラメルをあげたんだ--『Meuh』のキャラメルを」

「う、うそ……」

「その子のおかげで、スイーツが大好きだと再認識できた。だから、お菓子専門の輸入会社を設立しようと決心したんだ。いずれはコーヒーなども扱い、カフェを開きたいと思ってね」


美愛ちゃんの反応を確かめながら、ゆっくりと続けた。


「だから今の俺と会社がある。あとね、その子と約束したんだ。彼女が大きくなったら……」


美愛ちゃんの大きな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。

……やっぱり、あの時の子は美愛ちゃんだった。


「み、雅さんがあの時の?」

「うん。また会えて嬉しいよ--俺のお姫様」


再び泣き始めた彼女を抱きしめた。

……もう、離さない。


「美愛ちゃん、これから一番大事なことを話す」


額にキスを落としながら、彼女をまっすぐ見つめた。
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