せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
 私とイルドラ殿下は、モルダン男爵家に向かっていた。
 調査に関する手続きは、無理を言って早くしてもらった。というか、割と必要な手続きを飛ばしている。国王様の鶴の一声で、なんとかしてもらったのだ。
 それは本当は、良くないことである。ただウォーラン殿下が大変大胆な行動をしてしまっているため、これはもう仕方ない。

「ウォーランの奴は、メルーナ嬢を助けることしか考えていないのだろうさ」
「その気持ちは、私もよくわかります」
「しかし正式な手続きを通しておかないと、サジェードを追い詰めることができなくなる。父上の鶴の一声でなんとかしてもらったが、これでも後で問題にはなりそうだ」

 馬車の中で、イルドラ殿下は頭を抱えていた。
 ウォーラン殿下の行動を聞いてから、彼はずっとこんな感じだ。色々と思う所があるのだろう。

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