せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
「ウォーラン殿下は、正義感が強い方なのですよね……そこは良い所だと思っていたのですけれど」
「良い所でもあるが、悪い所でもある。あいつは時々暴走しがちだ」
「ウォーラン殿下は、どうするつもりなのでしょうか?」
「あいつのことだ。モルダン男爵家に忍び込むつもりだろう。そういうことは、案外上手くやれる奴ではあるから、必要以上の問題にはならないとは思うが……」

 ウォーラン殿下は、才能豊かな人であるらしい。
 しかし、もしもウォーラン殿下が侵入して見つかったりでもしたら大変だ。王族が泥棒なんて、とんでもない。
 もっとも、仮に見つかってもメルーナ嬢を見つけていれば問題にはならないだろう。そちらの方が罪は大きいし、ウォーラン殿下の行動の理由の証明にも一応なる。

「先に出た使用人が追いついてくれているといいが……」
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