せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
「とにかく、人を呼んできた方が良さそうですね……」
「それなら問題はない。派手にやったからな。騎士達も騒ぎを聞きつけて、こっちに来ているだろうさ」

 そこでイルドラ殿下と私は、改めてウォーラン殿下が蹴り破った壁を見た。
 その壁は、すごいことになっている。ウォーラン殿下は、なんというか強引だ。

「何があったのかはよくわかりませんが……皆さんがここに来たということは、もう安心しても良いということ、ですか?」
「ええ、ご安心ください、メルーナ嬢。これ以上、サジェードの好きなようにはさせません」
「ウォーラン殿下……」
「当然、サジェードには裁きを下す。奴は往生際も悪い最低の男だ。情状酌量の余地なんてものもない」
「イルドラ殿下……」

 ウォーラン殿下もイルドラ殿下も、その表情を強張らせていた。
 多分、私も同じような顔をしているだろう。サジェードを許さない。私達の認識は一致している。
 そんなことを考えていると、辺りに騎士達が集まって来ていた。これで本当に、一安心である。
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