せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
「……僕はアヴェルド殿下とのことを見て見ぬふりをしていた。それをお前達のように、関わっていたと考える者がいる。メルーナ嬢だって、そうだったかもしれない」
「彼女が事実を知っていると思ったのか?」
「ああ、そうだとも。そうでなければ、どうして彼女が僕の元を訪ねて来る? 他に理由なんてない。メルーナ嬢は、僕を脅しに来たんだ」

 イルドラ殿下の質問に、サジェードはすらすらと答えていた。
 先程のことも含めて、彼は嘘などをついているという訳でもなさそうだ。素直に話を応じるつもりは、あるらしい。

「メルーナ嬢の目的は、先程聞いておいた。彼女はお前の父親と妹を悼むためにここに来たんだ」
「……なんだって?」
「知らなかったのか? 思い込みが激し過ぎたようだな」

 イルドラ殿下の言葉に、サジェードは目を丸めていた。
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