せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
 彼はメルーナ嬢と、あまり対話していないようだ。というか、ここを訪ねた彼女は事情くらい話すと思うのだが、どうして知らないのだろうか。
 もしかしたら彼の中では、メルーナ嬢が自分を脅しに来たという結論が固まっていたのかもしれない。他のことを聞いても、耳に入って来なかったのではないだろうか。

「要するに、お前は勘違いをしてメルーナ嬢を監禁していた訳か」
「そ、そんな馬鹿な、わざわざ父上とシャルメラを悼みに来るなんて……」
「彼女は優しい女性だったのさ。そのせいでこんなことになるなんて、あってはならないことだ」

 イルドラ殿下は、サジェードのことを睨みつけていた。
 私もウォーラン殿下も、気持ちは同じだ。サジェードは身勝手な理由で、メルーナ嬢にひどいことをした。それを私達は、許すつもりなどはない。

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