せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
 だがそれでも、私はサジェードに対して激しい怒りを覚えていた。彼が発する言葉の内容は、身勝手極まりないものだ。一体どの口で、そんなことが言えるのだろうか。

「僕はただ賢明に生きていただけだ。それなのに、どうしてこんな目に合わなければならない……理不尽だ!」

 サジェードの情緒は、非常に不安定であった。悲しんだり良かったり、彼の感情は忙しい。
 しかし彼の言動は、身勝手としか言いようがない。言ってしまえば、これは身から出た錆だ。彼の行動は全て、短絡的過ぎる。

 モルダン男爵やシャルメラ嬢の罪が暴かれた時に、素直に自分がその事実を知っていたことを打ち明けていれば、このようなことにはならなかっただろう。
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