せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
 その視点については、考えたことがなかったからだ。
 彼女は、アヴェルド殿下とのことに責任を感じている。自分自身も、不正を働いていた一員だと考えているということだろうか。

「結果として、私は裁きを受けませんでした。それは、私が父達の不正を暴くための証言をしたからです」
「……」
「しかし私は、ただ疲れてラフェシア様やリルティア様に真実を話したというだけです。自分達がやっていたことについて、悪いことだとか良いことだとか、そう思っていた訳ではありません。私が本当に許されていいのかどうか、私にはわからないのです」

 メルーナ嬢は、悲痛な面持ちで心情を語っていた。
 やはり、色々と抱え込んでいたようだ。もしかしたら、モルダン男爵やシャルメラ嬢を悼もうと思ったのも、それが要因なのかもしれない。
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