せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
「いいえ、あなたはただアヴェルド兄上の思惑に惑わされていただけです。それを僕達は止めることができなかった……」
「いえ、そんなことは……」

 メルーナ嬢とウォーラン殿下は、お互いに譲れないようだった。
 しかし実際の所、二人のどちらかが悪いという話でもないだろう。二人はお互いに、巻き込まれたというだけだ。
 諸悪の根源はアヴェルド殿下や、ラウヴァット男爵だといえる。ただ、その二人は既に亡くなっているため、二人ともやり場のない思いを抱えているのだろう。

 それはきっと、イルドラ殿下も同じだ。手を繋いでいるからか、なんとなく彼の思いが伝わってくるような気がする。
 私の役目は、そんなイルドラ殿下を支えることであるだろう。彼が背負おうとしているものを、私も背負ってみせる。
 次期国王夫妻として、それはきっと必要なことだ。私達は、これから支え合って生きていくべきなのである。
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