せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
 それを私は、改めて考えていた。ラフェシア様が言っていたこと、それはきっと合っていたのだろう。私は次期国王に相応しいというだけで、イルドラ殿下を相手に決めた訳ではないのかもしれない。

「……イルドラ殿下、私はあなたと婚約できて良かったと思っています」
「……どうしたんだ? 藪から棒に?」

 少し悩んでいた私は、イルドラ殿下に対して素直な言葉を口にしていた。
 それに対して、彼は驚いている。いきなりこんなことを言われるとは、思っていなかったということだろう。
 ただ唐突なのは、この際仕方ないことである。これはきちんと、伝えておかなければならないことだ。なるべく早く、言っておいた方がいい。今言わなければ、きっと言えなくなってしまう。

「私がイルドラ殿下を選んだのは、ただ王位に相応しいと思っただけではないということです」
「それは……」
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