せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
「ネメルナ嬢、僕はあなたのこともアヴェルド兄上の被害者であると考えています。あなたは兄上に弄ばれて、そして最後には蔑まされていた。そのことを僕は考慮するべきだと考えています」
「考慮、ですか?」
「情状酌量の余地があると考えているのです。あなたを作り出したのは、僕達王族ともいえる。そんなあなたを葬り去るのは、あまりにも非道なことであると」

 ウォーラン殿下は、とても真面目な人である。
 故に彼は、ネメルナ嬢の極刑について強く反対していた。彼女もアヴェルド殿下によって歪められた一人だと、主張したのだ。

 そのアヴェルド殿下を作り上げた王家が、ネメルナ嬢を亡き者にする。ウォーラン殿下は、それを非道として批判した。
 それは私達にとっても、納得できないことという訳でもなかった。ネメルナ嬢は少なくとも、純粋に愛のために動いていたからだ。
 そこで私達は、なんとか折衷案を作り出した。ネメルナ嬢に関しては、特別な措置が取られることになったのである。
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