せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。
「わかりました。そういうことなら、私もそんなイルドラ殿下を支えてみせます」

 言葉を発しながら、私はイルドラ殿下との距離を少し詰めた。
 彼の判断が、本当に正しいかどうかはわからない。だが彼がそう決めたというなら、私はそれを支えたいと思う。それが私達の関係性だから。

「さてと、そろそろ堅苦しい話はやめにするか。せっかく二人で過ごせる時間だからな」
「まあ、お互いに色々と頑張らなければならないことはありますが、今はそれを忘れましょうか?」
「ああ、しっかり休んで。また頑張るとしよう。もちろん、二人で手を取り合って」

 私とイルドラ殿下は、笑い合っていた。
 いつだったか、イルドラ殿下は助けた対価は笑顔でいいと冗談めかして言っていた。
 その冗談を、今はお互いに本気で言える気がする。こうしていつまでも二人で笑い合って、ともに進んでいきたいものだ。そう思って私は、また笑うのだった。


END
< 246 / 246 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:75

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。 なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。 普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。 それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。 そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。
表紙を見る 表紙を閉じる
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※この作品は「アルファポリス」にも掲載しています。
表紙を見る 表紙を閉じる
伯爵令嬢であるフェレティナは、妻を亡くしたある侯爵と結婚した。 侯爵は紳士的であり、前妻との間にできた子供とも良好な関係を築けていたフェレティナにとって、侯爵夫人としての生活は心地良いものだった。 しかしある時、フェレティナは夫が自分の妹と浮気している事実を知った。 そこで彼女は二人を追及しようとしたが、二人はそのまま駆け落ちして外国に逃げてしまったのである。 本来ならばそこでフェレティナと侯爵家との関わりは終わるはずだったが、彼女は残された息子のために侯爵家に残ることにした。 曲がりなりにも親子として過ごしてきた彼のことを、放っておけなかったのである。 それから数年の時が過ぎて、フェレティナの元で息子はしっかりとした侯爵に育った。 そんな時、夫が帰って来た。彼は他国で事業に失敗しており、その補填を頼むために戻って来たのである。 ※この作品は「アルファポリス」にも掲載しています。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop