繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
「泣いてくれて嬉しいわ。私はこの家を出ていくけれど、お父様のこと、お願いね」

 私より悲壮な顔をしたリーヤが少し可笑しく、そして嬉しい。
 そこまで想って貰える主人はどれだけいるだろうか。

 私は父にもちゃんと愛されていた。
 だからこそきっと今父の心もボロボロだろう。
 でもずっと仕えてくれていた彼らがいれば、スクヴィス伯爵家はきっと盛り返せる。

(その為に私が嫁ぐんだもの)

 あぁ、けれど、もし可能なら最後にテオドルとの思い出が欲しかった。
 嫁いだ後も、きっと私が好きなのは彼だけだから。

 感傷的になりながらそんなことを考え、ひとりベッドへと潜った、その時だった。

 ガタッと窓が軋み、そして静かに開かれる。
 二階だからと油断して鍵を閉め忘れたのだろうか?

 思わず息を呑み、その来訪者へと恐怖の視線を向ける。
 だが私の目に飛び込んできたその人は、私のよく知る闇に紛れるような黒髪の青年だった。
 
「テオドル?」

 その意外な来訪者にきょとんとしていると、ツカツカと真っ直ぐ私のベッドのところまでやってくる。

「ご結婚されると聞きました」
「……、えぇ。そうよ」
< 16 / 126 >

この作品をシェア

pagetop