【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

「あ~そうだ! お前の侍女とたまたま出逢ったんだよ。それがまさにラッキーだった。僕がエフェーミアを助けるって言ったら、お前の居場所を教えてくれたんだ」

「私を見つけたのは、偶然じゃなかったのね……」

 港町にいることを、侍女に伝えてあった。
 きっと侍女が心配していたところに偶然ウィンタールが現れ、善意で居場所を教えたのだろう。
 まさかこの男がこんな凶悪犯だとは思わずに……。

「僕はいつだって運がいいんだよね~。やっぱヒーローだから? でも、あの侍女は運が悪くて、今頃生きてはいないだろうけどね」

「なに……を……貴様まさか! 彼女に何をしたの!! 赤ちゃんが産まれたばかりなのよ!」

「騒がれても困るからね。心臓を一突きさ。ガキが産まれたから、なんなのさ」

 マキラは、わなわなと震えて涙を流す。
 
「許さない……! 許さないわ……!!」

「はははは! これから僕の時代がくるんだよぉ! しかし長かったー! これくらい憂さばらしさせてくれよな! なぁ!! 淫乱娘よ! お前の初めてを奪うのが僕の夢だったのになぁ!」

「きゃ!!」

 両手両足を縛られながらも、ベッドで起き上がってウィンタールを睨みつけていたマキラの頬をウィンタールが打った。
 唇が切れて、血の味が口に滲む。
 そして、そのまま押し倒される。
 ウィンタールは、マントを捲り上げ、首までしっかりと隠したマキラのワンピースを切り裂いた。

「きゃっ! やめて……! いやよ!」

「僕は、子供の君が好きだったんだけど、今もなかなかだね! おっぱいがデカくても、君ならいいかもしれない! うん! エロいよぉー! 勃起してきたぁー! ホマス帝国のお偉方がお前を確認しに来るのは明日の昼だ。それまで、しゃぶりつくしてやるよぉ! エフェーミア!」

「私は、今はもうマキラよ……! やめて! 気持ち悪い! 離れて!」

 強気ではいるが、腰のベルト剣はもう抜かれてしまっている。
 そしてウィンタールに、馬乗りにされてしまった。

「ん? なんだこれ? 胸に何を仕舞っていた!! もしかして王族の宝の地図や重要な暗号か?」

 はらりと胸元から落ちた紙。
 ウィンタールは、それを機密的な手紙だと思ったらしい。

「やめて!! それに触らないで!!」

 だけど、それはルビーニヨンの栞。

「栞か……ルビーニヨン、忌々しい覇王の国の花じゃないか! そんなに大事なのか……怪しいな……これは後でゆっくり分析させてもらう……さぁ、僕のエフェーミア……愛しているよ……舐め尽くしてあげるよ~」

「いやっ! いやぁああ!」

 無理やり、抱き締められて、耳元で囁かれる。
 あの幸福な時間とは、全く違う。
 全身が呪われたように粟立つ。

 これは自分に与えられた罰だ、とマキラは思った。

 シィーンから黙って逃げた罰。

 自分の過去を話せないから、彼に本当の事を聞けなかった。
 聞かない選択肢を選んだのは、自分。
 
 ウィンタールの見当違いの憎しみは、醜く腐った八つ当たりは……自分の胸にも渦巻いていた闇だ。
 シィーンが覇王だと知った時、自分の心の汚い部分が恥ずかしくて、情けなく思った。

 深く愛してるから、逃げるしかなかった。

 シィーン……彼からの愛の囁き……微笑み……抱擁……全てが幸せだった。

 でも、それを引き千切ってしまった。

 マキラの頬から涙が溢れる。
 拘束されていても、両手と両足で拒絶した。

 ルビーニヨン、愛の花。

 あの思い出の栞を、持ってきてしまった。
 お守りのように、胸元に大事に仕舞っていた……。

 忘れられない――愛しい人。
 大好きで大好きで、死んでもずっとずっと好き。

 愛しているのは、貴方だけ……!!

「黙って抱かれろ!!」

「いやよ!! ……シィーン……シィーン……!!」

 舌を噛み切って死のうと決めた時、マキラは叫んだ。
 愛する男の名前を、呼んだ。

 マキラの聖なる力が溢れて光る。

 その瞬間、地鳴りと激しい雷が、この地に響いた――。
 

 
 
 


 
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