雨の物語 ザ レイニーズストーリー
 教科書と体操服を貰ってきたみんなは話しながら教室に戻ってきた。 「たくさん有るなあ。」
「しょうがないじゃない。 高校生なんだから。」 「そっか。 高校生か。」
「何言ってんの? 片山君?」 「いやいや、もうそんな年なのかと思って、、、。」
「今からじいさんみたいなことを言うんじゃないよ。」 「いいんだ。 俺は年寄りだから。」
「何歳?」 「うーーん、15歳。」
「面白くないなあ。 お前にはやっぱり漫才は無理だな。」 「何で漫才なんだよ?」
「いいじゃんいいじゃん。 気にするな。」 「気になるわーーー。 めっちゃ気になるわーーー。」
「引っ込め お化け。」 「まあ、クラスのお嬢様に向かってお化けだって?」
 仲間たちが訳の分からない言い争いをしている間にぼくと純子は教科書を確認して帰る準備を済ませたのでありましたが、、、。
「あれ? また定期が無くなってる。」 純子が蒼くなってぼくに言ってきたんだ。
「また?」 「そうなんだ。 スカートのポケットに入れておいたはずなのに、、、。」
「昨日もそれだったよね?」 「ああ、どうしよう? 帰れない。」
 純子が焦っているもんだからぼくも手伝って講堂から会議室まで見て回ることにした。
「うーーーん、何処だろう?」 講堂の中にまで入っていって探し回る。
 見回りの先生たちが歩いてきた。 「おー、お前たちは何をしてるんだ?」
「定期入れを落としたって言うから探してるんです。」 「そうか。 講堂には無かったぞ。」
「そうですか。」 純子はますます焦ってきたらしい。
 会議室を通りトイレを見て教室に戻ってきた時、担任の坂上先生が立っているのが見えた。
「落とし物を預かってるんだが、、、。」 「えーーーー? 何処に有ったんですか?」
「昇降口から上がってくる階段だよ。」 純子はさっそく受け取ると名前を確認した。
「ありがとうございます。」 「気を付けろよ。 盗むやつも居るからな。」
 坂上先生が行ってしまうと純子はまるで仏様を拝むような仕草で定期入れをポケットに入れた。
「また落とすんじゃないの?」 「ここなら落とさないから大丈夫。」
 教室はしんと静まり返っている。 「さあ帰ろうか。」
「うん。」 こうして今日もぼくは純子とバス通りへ向かうんだ。
 昨日も定期入れを探し、財布を探して校内を歩き回った。 これまでチラッと見掛けるだけの女の子だったのに今は一緒に歩いている。
昇降口を出るとバス通りへ向かって何も話さずに歩く。 周りの風景を見ながら、、、。
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