あなたと運命の番になる
蘭は陽菜に送ってもらって家に帰る。

家でスマホを見つめる。

[今日の夜時間ありますか?
話したいことがあるんです。
可能なら電話したいです。]

それを書いては消して書いては消してを繰り返し、いっこうに送信出来ないでいた。

今日の光景が脳裏に浮かぶ。似合わない、気持ち悪いなど言われるとやっぱり傷つくし、自信をなくしてしまう。陽菜はああ言ってくれたけど、世間はそういう風に見るだろう。和真に相談したいけど、面倒だと思われないだろうか。前に進めていた気持ちがまた後退してしまう。

考えてばかりいても仕方ないよね!

蘭はそう思い、晩御飯の支度をする。
今日は冬にピッタリなポトフを作る。

人参、じゃがいもなどを煮る。蘭は料理が好きだ。そして、料理を嬉しそうに食べてくれる母の顔を思い浮かべる。

昨日、出所したこと話したらお母さん心配してたな。
今日は楽しく食事したいな。

蘭はコンソメ、塩コショウで味付けしていく。
いい感じにできた!

イスに座りながら、蘭はまたスマホを見る。

陽菜にも言われたし、やっぱり連絡しなきゃだよね。
蘭は何度も読み返し、ドキドキしながら、思い切って送信ボタンをえいっと押す。

送っちゃったよ…。
でも伝えなきゃね。

一昨日に読みたかった新作の本をネットで買った。もしかしたら、ポストインされてるかもしれない。
返信ばかり待ってても仕方ないよね。

蘭はそう思って、マンションの階段を降り、ポストを確認する。
本と1枚の封筒を手にする。

白い封筒??
なんだろう?

封筒をあけると1枚の写真とメッセージの紙が出てくる。

写真には蘭の朝家を出かける時の写真が…。

メッセージには
[蘭ちゃん久しぶり。
元気そうだね。
ずっと会いたかったよ。
また来るね。]

蘭は前後左右を見渡して、急いで階段を登る。
そして部屋に入って、慌てて鍵を閉める。

心臓がバクバクとなっている。
手が震えて、封筒が落ちる。

怖いよ…。
どうしよ…。

蘭は深呼吸をして、落ち着こうとする。
スーハースーハー。

やばい…。上手くできない…。

蘭は頭が真っ白になる。

突然、体が疼いてくる。


もしかして、ヒート!!!???

強いストレスのせいでヒートが早まってきてしまった。

どうしよう…。
スーハースーハースススススス

呼吸が乱れる。体は火照って気持ち悪い。
こんな体もう嫌だよ…。

自分が嫌い。それなのに和真に会いたくなる。
涙が溢れる。


「蘭、大丈夫??どうしたの??」

仕事終わった母がちょうど帰ってきた。

蘭に近寄り、背中をさするが、いつもと違って全然治まらない。

「蘭、しんどいね。ちょっと病院行こうか。」

母は慌ててタクシーを呼ぶ。

母は1枚の封筒を目にする。
それを見て、母は蘭をぎゅっと抱きしめる。

「大丈夫よ!お母さんがいるからね。」

母はそっとカバンに封筒を入れ、家を出た。
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